平和の主に切に祈ろう!

 「国のために戦いますか」という質問に対して、18歳以上を対象にした最近の調査で、「はい」と答えた人は13.2%しかいなかった。これは世界の中で最も低い数字であった。その反対に「いいえ」と答えた人は48.6%にものぼった。私たちは過去の侵略戦争の反省に立って、二度と戦争してはならないと誓い、平和憲法の下、戦争放棄を目指すことが、この数字に表れていると思う。しかし、いつでも戦争できる国づくりを目指す政府にとっては、ゆゆしき数字で、愛国心を植付けたいのだ。

ウクライナから日本に避難した青年のロベルトさんは、「人を殺すことは出来ない」とし、徴兵や出国禁止の対象となる18歳になる前の17歳の時、日本に避難した。避難をする道中、見知らぬ大人たちから「国に残って戦わないのか」「逃げたな」と言われ、「僕は17歳です」と反論しても、殴られたり、銃を向けられたこともあった。同級生の多くはウクライナに残り、幼なじみからSNSで「裏切り者」と激しく罵倒する言葉が送られてきたり、連絡がとれなくなる友人も増えた。

ロベルトさんは、「今は非常時だと理解している。兵士として戦っている親戚もいるし、戦死した知人もいる。でも、やっぱり人を殺すことはできない。例え大人だったとしても戦争には行けなかったと思う。戦争のない国へ避難する決断が、なぜこんなに責められるのか?」と嘆く。昨年からは徴兵を避け、18歳以下の青年が1人で日本に避難してきた例も目立つ。しかし、「戦争には行かない」「人を殺すことはできない」という青年たちこそ、まっとうな判断をしているのではないか。

ロシアによるウクライナ侵攻が始まった直後から、ゼレンスキー大統領は国民にロシアに対して徹底抗戦するよう呼び掛けてきた。彼の言葉は、悪く言えば、「国のために命を捧げよ」と強要した戦時中の日本と変わらない。国民の生命と尊厳を守る姿勢はどこにあるのか見出せない。むしろ、守ろうとしているのは国家の主権と領土である。政治家に課せられた第一の責務は、国民の生命と尊厳を守ることではないか。

これ以上、ウクライナとロシアの人々の命が奪われ、その尊厳が傷つけられることがないように、又、立場や考えは違っても、この戦争が一刻も早く終結し、平和な日常が取り戻されるように、平和の主に切に祈ろう。又、ガザ地区でのイスラエルとハマスの戦争も終結に至るように、諦めないで、共に祈りを合わせよう。

「すべての人との平和を、また聖なる生活を追い求めなさい。」ヘブライ12:14