医療伝道の大切さ

本日、「バプテスト病院デー」を迎えた。日本バプテスト連盟が、この日を6月第二主日に制定したのは、1955年に京都にバプテスト病院を開院したことを記念して、医療伝道(全人医療)を教会全体で覚えるためであった。「日本バプテスト医療団」は、米国南部バプテスト連盟の医療宣教の支援によって誕生し、現在、病院、老人保健施設、訪問看護、在宅ホスピスなどを運営し、地域の医療を担っている。

医療伝道の大切さは、キリストの愛を“言葉ではなく、いのちのかたち”で示すことにある。 医療・介護・看護・ホスピス・在宅ケアを通して、身体・心・霊のすべてに寄り添う“全人医療”が、その中心にある。医療行為は単なる治療ではなく、身体の痛み、心の不安、霊的な叫び、に同時に寄り添う働きである。

これは、イエスが病人に触れ、癒し、励まし、赦しを与えた姿と重なる。イエスの宣教の中心は常に、癒し・回復・赦し・慰めがあった。盲人の目を開き、中風の人を立ち上がらせ、血の止まらない女性に触れ、重荷を負う者を招き、罪人を赦し、社会から排除された人を回復させた。イエスの宣教は、いのちを回復する働き、そのものであった。だからこそ、医療伝道はイエスの宣教の中心にある働きと言える。

朝ドラ「風、薫る」も、人が回復していく物語として描かれている。明治時代の日本を舞台に、近代的な「看護」の世界に飛び込む二人の若い女性の成長を描く物語で、彼女たちは西洋式の訓練を受けた看護師「トレインドナース」を目指す。ドラマの中で描かれるのは、病気そのもの、病気がもたらす不安、家族の葛藤、生きる意味の揺らぎといった複層的な痛みである。医師や看護師が向き合っているのは、病気ではなく「人」そのものであり、これはまさに、全人医療=身体・心・霊のすべてに寄り添う医療で、これは、イエスの癒しの物語の現代版と言ってもよい。

医療の現場では、痛み、不安、孤独、死への恐れ、家族の疲れ、祈りを求める心、こうした深い叫びが交差している。そこで示されるケア・傾聴・祈り・寄り添いは、言葉以上に福音を語ることにある。医療は“福音を行いとして示す”最も強い証である。医療団は創立以来、「キリストの隣人愛に基づく医療」を使命としてきた。医療伝道は“教会と社会をつなぐ橋”である。医療は、教会に来ない人とも自然につながる場である。病院や在宅ケアでの出会いは、「教会に行ったことはない」「宗教は苦手」という人にも、偏見なく福音を届ける機会になっていることを覚えたい。