子どものころに読んだ漫画『はだしのゲン』は、今でも鮮明に記憶に残っています。特に、原爆投下後にゲンの家族が家の資材に押しつぶされ、炎に包まれて命を落としていく場面は、あまりにも悲惨で、こんなことが本当に起こったのかと目を背けたくなるほど衝撃的でした。この作品を通して、私は「死」というものに対する恐怖心を抱くようになり、「死んでも天国に行きたい」と強く願うようになりました。それが、私がバプテスマを受けるきっかけにもなりました。
私は戦争を直接体験してはいませんが、こうした書物を通じて知った現実や、教会で語られた皆さんの体験談を聴くことで、「この過ちは二度と繰り返してはならない」という思いを新たにしています。かつて、佐川さんと久保内さんのご自宅を訪ね、戦争体験を伺ったことがあります。佐川さんからは、「火に追いかけられて逃げるのが熱くて怖かった」という話を、久保内さんからは、「死体の上を逃げ惑ったこと、生きていたらまた会おうねと言って友達と別れたこと」など、青春を奪われながらも過酷な時代を生き抜いたお話を聞かせていただきました。そうした方々が命をつないでくださったからこそ、今の日本があるのだと、改めて感じています。
現在、私は某大学で留学生の受け入れ業務に携わっています。全体で500人以上の留学生が在籍しており、社会的に対立関係にある国籍の学生たちが、同じキャンパスで共に学んでいます。私は特に「国費生」と呼ばれる、文部科学省の奨学金を受給しながら学ぶ優秀な学生たちと関わる機会が多くあります。近々、プログラムを終えて帰国する学生たちがいますが、イランやミャンマーなど、情勢が不安定とされる国の出身者も含まれており、ニュースで状況を見る度に、「本当に帰っても大丈夫なのだろうか」と心配になります。彼らを知れば知るほど、なぜその国が攻撃されなければならないのか、世の中の理不尽さを感じずにはいられません。
私は幸いにも、教会という場で「平和」について考える機会を多く与えられ、また職場では世界中の人々とつながる機会にも恵まれています。再び誤った道を歩まないために、過去から学び、未来へとつなぐ使命を、これからも誠実に果たしていきたいと思います。
「平和を実現する人々は、幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。」マタイ5:9